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7月。夏のボーナスを受け取った方も多い時期ですね。
この時期、FPとしてご相談を受けていると、「辞めたい気持ちがあるけど、不安で動けない」という声をよく耳にします。
私自身は、ボーナスがきっかけで退職を考えたことはありませんが、“辞めたいけど辞められなかった経験”はあります。
だからこそ、今「揺れている人」に向けて、お金と心の準備について伝えたいと思いました。
辞めたいけど辞められない理由は何か?
「もう辞めたい」
「でも辞めるのが怖い」
この2つの気持ちの間で、揺れ続けている人はとても多いと感じます。
FPとしてご相談を受けていても、「転職したいけど、今後の生活が不安で動けない」といった声は少なくありません。
辞めたい理由は人それぞれですが、辞められない理由にはある“共通点”があるように思います。
それが、「お金の不安」と「心の不安」です。
- 貯金が少ないから、辞めたら生活できないかも
- 次の仕事が見つからなかったらどうしよう
- 家族や周囲に反対されそう
- 転職したら人間関係でつまずくかもしれない
こうした気持ちは、とても自然な反応です。
むしろ、ちゃんと自分の未来を考えているからこそ生まれる不安なのだと思います。
ただ、不安にばかり目を向けてしまうと、動けないまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。
だからこそ、いくつかの“準備”があると、少しずつ視界がひらけてくることもあるのです。
お金の準備は“安心”をくれる
この時期に転職を検討する人が多いのには理由があります。
それは、ボーナス支給という節目が、金銭的にも精神的にも一つの区切りになるからです。
実際、企業側も「ボーナス支給直後の退職」はある程度見越しており、転職市場でも7月〜9月は動きが活発になります。
そんななか、「今がチャンスかも」と思いながらも、不安で踏み出せないという人も多いのではないでしょうか。
その不安の多くは、やはり“お金の備え”にあります。
生活費、把握していますか?

転職をするにしても、ブランクがあるかもしれない。
思ったより次の職場が決まらないかもしれない。
だからこそ、今の生活にいくらかかっているのかを把握することが最初の一歩になります。
- 固定費はいくら?
- 最低限の生活費はどこまで削れる?
- いざというとき、何ヶ月分の生活費が手元にある?
このあたりがわかると、「転職しても3ヶ月は暮らせる」「半年ならなんとかなる」など、数字を根拠にした安心感が生まれます。
ボーナスは“備え”に使える
ボーナスは、大きな買い物やご褒美に使いたくなるものです。
それも良いのですが、転職を見据えているなら、一部でも“未来の選択肢を広げるための資金”として残しておくのがおすすめです。
私がFPとしてお伝えしているのは、
- 生活防衛資金(最低3ヶ月〜半年分)を確保する
- 予想外の出費に備える「予備費」も少しでも用意しておく
- 次のキャリアのための学びや引っ越し資金にも余裕を持たせる
こうした準備があると、「もう少し職場を選ぼう」と冷静に判断できたり、「収入が下がっても自分に合った働き方に切り替えよう」という選択肢も視野に入ってきます。
心の準備ができなかった、私の話
お金の備えについてはよく語られますが、実は同じくらい、“心の準備”も大切だと私は感じています。
というのも、私自身、かつては心の準備がまったくできていなかった状態で限界を迎え、休職に追い込まれてしまったからです。
当時の私は、「この環境はもう無理かもしれない」と思いながらも、
「ここで辞めたら負けだ」とか
「もっと頑張れば何とかなるかもしれない」と自分を追い込んでいました。
辞めるという選択肢を持たないまま、ただただ耐えることで、自分を守ろうとしていたのだと思います。
結果として、心も体も限界を超えてしまい、休職するという選択を取らざるを得ませんでした。
心の準備とは、辞めると決めることではない
今だからこそ思うのは、心の準備とは、「辞める」と決めることではなく、もしものときに備えて“選択肢を持っておくこと”だということです。
- 「この人に相談しよう」と思える相手を持つ
- 「無理だと思ったら一旦実家に帰ろう」など逃げ場所を用意する
- 「辞めたら何をするか」をぼんやりでも想像しておく
これらは、いざというときに自分を守ってくれる“逃げ道”になります。
全く退職することを考えていない人でも、この3つくらいはぼんやりと頭の中に持っておくと良いと思います。
そして、逃げ道を持っている人は、むしろ逃げずに済むことも多いのだと思います。
次の章では、そうした“逃げ道”や“柔らかい着地地点”の作り方について、さらに具体的にお話ししていきます。
逃げ道をつくるという選択

「逃げ道を持つ」というと、なんとなくネガティブに捉える方もいるかもしれません。
かつての私もマイナスのイメージを持っていました。
でも私は、これまでの経験を通して、逃げ道は“自分を守るための前向きな備え”だと感じています。
前述の通り、
- 「もう無理」と思ったときに帰れる実家や居場所を考えておく
- 相談できる人(家族、友人、専門家)とつながっておく
- 「辞めたら数ヶ月はどう過ごすか」のシナリオをイメージしておく
こうした“柔らかい着地地点”があるだけで、「最悪の事態になってもなんとかなるかも」と思えるようになります。
そして不思議なことに、逃げ道がある人ほど、踏みとどまっていられるというのも実感としてあります。
準備は、辞めるためだけじゃない
ここで一つ大切にしたいのは、
準備は“辞めるため”だけに使えるものじゃないということ。
準備があることで、
- 「もう少し今の職場で頑張ってみよう」と思えるかもしれない
- 「辞めたとしても大丈夫」と思えて、安心して働けるようになるかもしれない
つまり、準備は“行動する”ためだけでなく、“行動しない”ためにも使えるものなのです。
次の章では、今回のまとめとして、この準備を「行動の選択肢」として捉える視点をお伝えしていきます。
選択肢を広げるための“準備”という行動
ここまで、「お金の準備」「心の準備」「逃げ道を持つこと」についてお話してきました。
どれも共通しているのは、“準備は、行動の選択肢を広げてくれる”ということです。
「備えあれば憂いなし」という言葉がぴったりです。
辞めるか、辞めないか。
すぐに決断できることじゃないからこそ、迷っている今、少しずつできることをやっておく。
- 生活費を見直しておく
- ボーナスの一部を残しておく
- 自分の気持ちを整理する時間を持つ
- 心を支えてくれる人とつながっておく
そうした“小さな準備”の積み重ねが、いざというときの自分を助けてくれます。
不安なままでも、進んでいい
準備ができたからといって、不安がゼロになることはありません。
でも、不安を抱えたままでも、「自分を守る準備をしてきた」という実感があることで、
進める一歩もあると思っています。
準備とは、行動のための保険であり、迷いの中での“お守り”のようなもの。
だから、まずはそこから始めてみるのも、立派な一歩だと思います。
最後の章では、FPとしてそっと添えたいメッセージと、必要な人に向けた相談案内をお伝えします。
おわりに|「辞める」も「辞めない」も、あなたの選択
会社を辞めるって、大きな決断です。
そして、その決断を「しない」こともまた、ひとつの選択。
どちらが正解かなんて、誰にもわかりません。
ただ言えるのは、どちらを選んでも、自分を守る準備をしておくことは無駄にはならないということです。
今回の記事では、ボーナスという節目の時期に、ふと「このままでいいのかな」と思ったあなたに向けて、“お金と心の準備”についてお話してきました。
これをきっかけに、自分の生活や気持ちを少しだけ見つめ直す時間を持ってもらえたら、とても嬉しいです。
もし、「何から準備すればいいかよくわからない」
「一人で考えるのがつらい」
そんな気持ちがあれば、FP相談も受け付けています。
無理に何かを勧めることはありません。
ただ、今のあなたの気持ちに寄り添いながら、一緒に考える時間をつくれたらと思っています。
どうぞ、お気軽にご相談くださいね。
詳しい相談メニューについてはこちら
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