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「あの人、TOEIC800点あるのに、英語全然喋れないんだよね…」
以前働いていた職場で、人事担当の方がそんなことを漏らしていました。
英語力を見込んで採用した社員だったそうですが、スピーキングの部分で期待とのギャップがあったようです。
「TOEICって就職に強い資格じゃないの?」
と思う方も多いかもしれませんが、実はこうした話はよくあるようです。
私は以前、英検協会の職員として働いていました。
英検の運営に携わるなかで、
「資格としての信頼性」や「英語を“使える形”で証明する仕組み」の強みを間近で見てきました。
この記事では、そんな私が感じた「大人こそ英検を受ける意味」について、
社会人のキャリアや学び直しの観点からお伝えしていきます。
大人が英検を受けるのって意味あるの?

「英検って、学生が受けるものじゃないの?」
そう思っている方は意外と多いかもしれません。
でも実は今、社会人の間でも“あえて英検を受ける”人がじわじわ増えています。
英検協会が公表しているデータによると、
2023年度の大人(社会人)の受験者は、
約64万人(その他を大人と想定した場合)で、
受験者の14%を占めました。
仕事に直結するの?意味あるの?
と疑問に感じている大人に向けて、
その理由をわかりやすく解説していきます。
英検は学生だけの試験ではありません
英検は、社会人にも十分意味のある試験です。
その理由は、「英語力の総合力」を測る指標として、信頼性が高いからです。
英検は、リーディング・ライティング・リスニング・スピーキングの4技能をバランスよく評価する構成になっており、「実践的な英語力」が問われます。
これは、TOEICなどの試験と異なり、特に会話力や表現力を重視する場面でも説得力を持ちます。
なぜ社会人にとって“見える資格”が必要なのか
大人になるほど、「英語ができる」と言葉で言っても伝わらない現実があります。
だからこそ、第三者が認める“資格”が有効な手段になります。
特に英語を使った業務経験がない人や、
学び直し中の人にとっては、
「この級を持っています」という実績は客観的な証明になります。
たとえば準1級以上であれば、履歴書や職務経歴書にも書けて、転職や副業での武器になります。
「意味があるか?」ではなく「どう使うか?」
英検の価値は“意味があるか”ではなく、“自分がどう活かすか”にかかっています。
つまり、目的があれば十分に活きる資格です。
例えば、キャリアアップのために学び直したい、転職活動の武器にしたい、
英語教育に関わりたい──こういった明確な意図があるなら、英検はその第一歩になります。
英語学習のスタート地点としても、一区切りの到達点としても、活用しやすい資格です。
「英語ができます」では伝わらない現実
「英語がある程度できます」──その一言では、
なかなか相手に伝わりません。
特に仕事や転職の場面では、
どれだけ話せるのか、
書けるのかを“証明”するものが求められます。
ここでは、なぜ英語力を“見える化”することが重要なのか、英検がその手段としてどう役立つのかを解説していきます。
英語スキルは“目に見える証明”が必要
社会人の英語力は、「言ったもの勝ち」になってはいけない。
そのため、第三者が評価した証明書や資格が強く求められます。
たとえば、履歴書や職場で「英語が得意です」と言っても、それだけでは具体的なレベル感が伝わりません。
しかし「英検準1級を保有」と書けば、それだけで一定の英語力があることが客観的に伝わります。
転職・履歴書で評価されるのは“準1級”
英検を履歴書に書くなら、できれば準1級以上を目指したいところです。
理由は、企業側が求める英語力の水準に合ってくるからです。
英検2級は高校卒業レベルとされますが、ビジネスの現場では準1級レベル(大学中級以上)が「実用レベル」と見なされます。
私は、転職を数回しましたが、求められるのは、大体準1級以上でした。
特に外資系企業や英語を使う部署では、TOEICと並んで英検の準1級や1級を評価対象とする企業も少なくありません。
誰でも名乗れる“英語好き”より、信頼される“有資格者”へ
「英語好き」や「英語を勉強しています」という肩書きは自由に名乗れます。
けれど、それを“信頼”に変えるには根拠が必要です。
英検を持っているだけで急に英語がペラペラになるわけではありませんが、“努力したこと”や“一定の基準に達したこと”を示せるのは大きな強みです。
とくに独学で学んでいる人ほど、この「結果」が自信にも、他人からの評価にもつながります。
英語学習の成果を“見える化”できる英検
英語学習を再開したものの、「続かない」「手応えがない」と感じた経験はありませんか?
その原因のひとつは、“成果が見えづらいこと”。
そんなときこそ、英検のような資格試験が「自分の今の位置」と「次の目標」を明確にしてくれます。
ここでは、英検がどのように学習の道しるべになるのかをお伝えします。
合格というゴールがあるから、やる気が続く
英検は「合格・不合格」がはっきりしているからこそ、目標を持って取り組めます。
これは日々の学習を続ける上で、非常に強力なモチベーションになります。
アプリやYouTubeでの勉強も継続しやすいかもしれませんが、ゴールが曖昧だと途中でやめてしまう可能性もあります。
一方で、「○月の試験に合格する」という具体的な目標があると、計画的に学習できるようになります。
特に社会人は時間が限られているからこそ、目標があることで集中力が高まります。
準1級まで段階的にステップアップできる
英検は、5級から1級までレベル分けが明確なので、“自分に合ったスタート地点”を選べます。
さらに、少しずつ級を上げていく過程も達成感につながります。
いきなり準1級を目指すのが不安な方は、まずは2級を目標にしてもOK。
2級に合格したら、次は準1級へ──と段階を踏んでレベルアップできます。
ゲーム感覚と言っては語弊があるかもしれませんが、自分がレベルアップしていること実感できることは、学習を継続する上でとても重要です。
点数やスコアだけでなく、“使える英語力”を測れる
英検は、単なる点数ではなく「話す・聞く・読む・書く」の4技能をしっかり評価します。
つまり、実際に英語を使う場面での力を確認するのに向いています。
たとえば、スピーキング(面接)があることで、発音や表現方法を意識して学習する必要があります。
AIを相手に英会話をすることも現在では可能ですが、英検の面接試験は対人で行われます。
これは対AIでは味わえない緊張感や、実践感覚を養うこともできます。
また、ライティングの採点もあるため、「英語で自分の考えを伝える力」が身につくのも特徴。
“合格=実践力の証明”と考えれば、英検は学習成果の見える化にぴったりの試験です。
英検準1級はどれくらい役に立つ?
「準1級ってどのくらいすごいの?」「それ、本当に仕事に使えるの?」
英検準1級というと、なんとなくハードルが高そうな印象がありますよね。
でも実は、社会人にとって“実力証明”としても“転職での強み”としても、非常に使い勝手の良い資格です。
ここでは、準1級の価値や活用シーンについて詳しく解説していきます。
準1級は“実務で通用する”英語力の目安になる
英検準1級は、「大学中級〜上級レベル」の英語力とされています。
つまり、ビジネスや日常会話でも一定の応用が効く実力の証明になります。
言語能力を評価するための国際的な基準である、
CEFR(セファール)において、準1級は概ねB2レベルとされています。
B2は中上級レベルとされており、
自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。
母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。
幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。
(出典)ブリティッシュ・カウンシル、ケンブリッジ大学英語検定機構
準1級では、高度な語彙や複雑な文章を理解する力に加え、自分の意見を英語でしっかり伝えるライティングやスピーキングも問われます。
TOEICでは測りづらい「発信力」や「表現力」を重視している点が、特に実践的です。
求人票にも「英検準1級以上」が条件の仕事がある
実際の求人でも、「英検準1級以上」を条件とするケースが存在します。
特に教育業界・翻訳・通訳・外資系企業などでは注目されやすい資格です。
たとえば英語教室の講師やインターナショナルスクールのスタッフ、海外対応のカスタマーサポートなどでは、英検の級を応募条件として明記している求人もあります。
また、「TOEIC〇点以上 or 英検準1級以上」という書き方をしている企業も多く、英検が立派な比較対象になっていることがわかります。
TOEICとの違いは「話す・書く力」まで問われる点
英検とTOEICの最大の違いは、スピーキング・ライティングを含むかどうかです。
英検の準1級以上は、英語を「理解する」だけでなく「使える」力も求められます。
TOEICのスコアは高くても、「話すのは苦手…」という人も少なくありません。
一方、英検は二次試験(面接)でスピーキングが問われるため、合格者は“最低限、話せる”レベルに達していることが証明されます。
「使える英語力」の証明として、英検は信頼性が高い資格と言えます。
英検を活かしてキャリアにどう繋げる?大人の活用術

せっかく英検に合格したのに、「これからどう活かせばいいの?」と迷っていませんか?
特に社会人にとっては、学習のゴールが「試験合格」だけではもったいない。
英検は、その先のキャリアアップや副業・転職といった場面でもしっかり活かせます。
ここでは、英検を持っていることで広がる具体的な“キャリアの可能性”を解説していきます。
履歴書・職務経歴書にどう書くと効果的か?
英検を履歴書に記載する際は、「活かせる場面」とセットで伝えることが効果的です。
理由は、資格そのものより「何ができるのか」を企業は知りたいからです。
たとえば「英検準1級取得(ビジネスレベルの英語力)」など、レベル感が伝わるような記載が有効です。
また職務経歴書や自己PRでは、資格の情報だけでなく、「英語を使った業務経験」や「海外での業務経験」などを合わせて記載することで、資格により説得力が増します。
面接での自己PRにどう活かす?
英検は“努力の積み重ね”や“継続力”を伝える材料にもなります。
英語を使う仕事でなくても、前向きな印象を与える自己PRになります。
たとえば「働きながら勉強を継続し、半年で準1級に合格」など、学び直しに取り組んだ姿勢そのものが評価される場合もあります。
また「スピーキング試験で自分の考えを伝える練習をした」経験は、対話力や論理的思考力にもつながるため、幅広い職種で強みになります。
英検を使って副業・資格指導という選択肢も
英検を取得したあとは、それを“教える側”に回る道もあります。
たとえば、英検3級~準2級レベルの指導は、準1級を持っていれば十分対応可能です。
オンラインでのマンツーマン指導や家庭教師、ココナラなどのスキルシェアでサービス提供する人も増えています。
実体験に基づいたアドバイスができる点が強みとなり、初心者層のニーズとマッチします。
英検を「学びの証明」から「収入を生むツール」へと活用できる可能性があります。
英検は、大人の“英語学習の道しるべ”になる
大人になってからの英語学習は、時間も気力も限られるからこそ、「何のために学ぶのか」が大切になります。
そんな中で英検は、ただの資格試験ではなく、
“英語学習を続けるための目印”や“努力の証明”として、大きな意味を持つ存在です。
ここでは、本記事のポイントを振り返りながら、あなたの次の一歩に繋がるメッセージをお届けします。
学び直しのモチベーションに、英検はぴったり
「成果が見えないと続かない」──そんな大人の学び直しに、英検はちょうどいい試験です。
合格・不合格という明確なゴールが、日々の学習を支えてくれます。
特に準1級以上を目指すことで、自分の英語力を本格的に高めるきっかけにもなります。
小さな成功体験の積み重ねが、語学力だけでなく、自信にもつながるのです。
キャリアや副業にも繋がる“見えるスキル”
英検は、ただの語学試験にとどまりません。
社会人にとっては「努力の証明書」であり、「キャリアの後押し」となる資格です。
転職時のアピール材料や、英語指導・副業の足がかりとしても活用できるため、取得後の展望も広がります。
「英語ができる」ではなく「こう活かせる」と言えるようになることが、英検の大きな価値です。
迷っているなら、まずは挑戦してみよう
英検を受けることで、英語学習の“軸”ができます。
迷っているなら、まずは過去問を解いてみるのも良い第一歩です。
各級のレベルを把握して、受験級を定めるのが現実的なプロセスかもしれません。
年齢やバックグラウンドに関係なく、学び直しはいつからでも始められます。
英語を学びたい気持ちを、形あるものへ──英検は、その願いを叶える力強い味方になってくれるはずです。

よくある質問(FAQ)
Q1. 英検の受験に年齢制限はありますか?
英検には年齢制限がないため、小学生からシニア世代まで誰でも受験可能です。大人になってからの挑戦でもまったく問題なく、実際に社会人やシニア層の受験者も年々増加しています。
Q2. 英検とTOEICのどちらを先に受けた方がいいですか?
目的によって異なりますが、英語を「使う力」も伸ばしたいなら英検がおすすめです。TOEICはビジネス向けのリーディング・リスニング重視、英検は4技能をバランスよく測れるため、使える英語を身につけたい人には向いています。
Q3. 何級から始めればいいのかわかりません。
まずは公式サイトのレベルチェックや過去問を使って、自分に合った級を見極めましょう。まったくの初学者なら3級前後、ある程度英語に触れてきた方なら2級や準1級を目標にするのが一般的です。
Q4. 英検に有効期限はありますか?
英検の合格には有効期限がなく、一度合格すれば生涯有効です。ただし、スコアや成績証明書の発行には期限があるため、履歴書などで提出する場合は最新の情報を確認しておくと安心です。
Q5. 社会人でも独学で合格できますか?
はい、独学でも十分に合格可能です。実際に参考書やアプリを活用し、通勤時間やスキマ時間を有効活用して合格した社会人は多くいます。ポイントは、継続と目標設定です。
Q6. 英検の試験会場は学生ばかりですか?
地域や級にもよりますが、準1級や1級では社会人や年配の方の受験者も多く、気後れする必要はありません。学生向けの試験というイメージがあるかもしれませんが、実際には年齢層は幅広く社会人の受験者数も増加しています。
Q7. 子育て中でも英検の勉強はできますか?
子育て中の方でも、毎日短時間でも積み重ねることで学習は可能です。1日15〜30分の学習でも十分に効果があり、夜の自由時間や家事の合間を使ってコツコツと進めている方も多いです。
Q8. 英検の面接対策はどうすればいいですか?
面接は事前に流れを把握し、模擬練習を重ねることが重要です。自宅での音読練習に加え、オンラインで模擬面接ができるサービスや、面接官経験者による対策講座も利用すると安心です。私もオンライン対策を開講しているのでよろしければ次の章をご確認ください。
🌿 英検面接、ひとりで不安ですか?
元英検職員の私が、3級・準2級・2級の面接対策をサポートしています。
試験の流れを把握した上で、スピーキングの練習やアドバイスを受けるだけで、合格率はぐんと上がります。
- 面接の流れが不安な方
- 誰かと模擬練習しておきたい方
- スピーキングに自信がない社会人・学生の方
この記事のまとめ
- 英検は年齢に関係なく受験でき、大人の英語学習にも意味のある“スキルの見える化”手段として活用できます。
- 「英語ができます」だけでは伝わらないため、英検準1級以上の資格がキャリアや信頼獲得に役立ちます。
- 合格という明確なゴールがある英検は、モチベーションの維持や学習の進捗管理にも最適な目標になります。
- 英検準1級は実務レベルの英語力を証明でき、求人や転職活動でも一定の評価を得られる実用的な資格です。
- 合格後は履歴書への記載や面接でのPRだけでなく、副業や英語指導など収入に繋げる道も開けます。
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